ぼくのきせき

「子どもの心に火を灯す ⇄ 自分の心に火が灯る」 実現めざした学びの軌跡

卒業を前にした6年生に向けて、1年生からのメッセージ。「おにいちゃん、おねえちゃん。ありがとう」(学級だよりでどう語る?)

6年生を担当し、卒業を間近にしたある日のことです。ぼくは1年生に、「卒業する6年生と一緒に時間を過ごしてください」とお願いしていました。ここに至るまでに、様々な問題があった子どもたちに向けて、「自信をもって、胸を張って」というメッセージを送りたかったのです。もちろん、この出来事の価値づけも、学級だよりで行います。

 

 

 

1年生へのお願い

1年間のなかには、

いろいろなことがありました。

 

友だちとの関係が複雑になったこともありました。

クラスの中にグループができて、

もめあうなんてこともありました。

 

そんな子どもたちが

もうすぐ卒業する。

 

ぼくは、いつもこの子たちに、

エールを送り続けてきました。

でも、この日は、すこし角度を変えて、

1年生にお願いをしました。

 

「ごめん。先生ね、1年生の力をかりたいんだ。

 もうすぐ、お兄ちゃんとお姉ちゃん、中学校に行くの。

 みんなで、お兄ちゃんとお姉ちゃんに、『がんばれ!』って

 元気をプレゼントしてくれないかな?」

 

 

1年生の子どもたちは、

 

「いいよ〜〜〜!!!」

 

ぼくは、もうすこしお願いをしました。

 

じゃあ、もうちょっとお願いしてもいいかな?

みんなに、「ともだちになるために」

作詞:新沢 としひこ 作曲:中川 ひろた

を歌ってほしいんだ。

元気に歌ってくれる?

 

1年生の子どもたちは、大喜び。

さて、

どうなったのでしょうか・・・。

 

実際の記事(2018年3月14日 『6-1のきせき』第327号)

  

さあ、今日の3時間目だけど、「ともだちになるために」を歌おう。

1年生と一緒にね。

 

そのときに、

もう一度、

この歌詞の意味を感じてほしい。

 

先生、この歌、すてきだと思う。

 

「ともだちになるために 人は出会うんだよ」

 

ーあなたたちは、このメッセージの意味わかるよね。

 

1年生のとき、それを素直に表現できた。

だけどみんなのなかには、

6年生になるまでの間に、

いろいろな人間関係があった。

場合によっては、臆病になっている友だちもいる。

 

「こういうふうにしたら、どう思われちゃうかな?」

 

「こんなことしたらおかしいかな・・・」

 

「まちがえたら、笑われちゃうかな・・・」

 

ってね。

でもね、それはちがう。

 

「そんなこと言ったって、気の合わない友だちはいる」

 

という意見もあるかも知れない。

 

でも、そんなこととは関係ない。

 

確かに、笑う人はいるんだ。

でもね、ぼくたちは知ってる。

物語の主人公は、「笑う方じゃない」

サザンカ」(sekai no owari)をみんなで歌ったとき、

「たしかに、そうだ」って

ぼくたちは、言い合った。

 

「笑う人」に目がいってしまうのは、仕方がないかもしれない。

 

でも、

それで動けなくなってしまうとしたら、

それはもったいない。

 

「つまずいて転んでたら、おいてかれんだ」。

あなたたちは知っているはずだ。

 

「手をつなげば温かいこと嫌いになれば一人になってくこと」。

 

「本当に大事なものは隠れて見えない」。

 

 

出会いは、出発。

自分の心の中にある「友だちがほしいな」っていう気持ち、

他の人たちにもある。

 

「同じようなやさしさ、もとめあっている」。

 

臆病からは、明るい出会いは生まれない。

あなたたちは、

今日までの「物語」の中で、

たくさんの力をつけてきた。

 

だから、胸を張って、

1年生からのメッセージを受け取るよ。

 

もう一度、1年生の無邪気な勇気をもらおう。

 

そして、

 

雨の中困っている友だちに、「傘を差し出す」ように、

勇気をもって一歩前へ出よう。

 

一緒に、「虹」を楽しむことができるよ、きっと。

 

 

新しい出会いに向かって一歩踏み出すあなたたちへ。

 

(2018年3月14日 6年1組学級だより『6-1のきせき』第327号より)

 

どうなった?もちろん・・・・

もちろん、会は大成功。

 

「ありがとう」

 

を大きな声で言ったのは、

1年生よりも、

ぼくたち6年生だった。

 

なんども

アンコールをして、

一緒に歌う子どもたち

 

子どもたちの心の中には、

なにか あたたかいものが のこっただろうか・・・。

 

 

 

f:id:nobounds-cloud:20190214171915j:plain