差があるからこそ生まれる学び。違いは減らした方が学べるか・・・。
今回は、5年生の7月に入った頃の学級だよりを振り返ってみたいと思います。
いろいろな考え方があると思いますが、ぼくは教室の中に、「理解の差」とか「学力の差」をどのように授業のなかで位置付けていくか、いつも考えています。
差があるからこそ学べることを、追求している経過の一端が、この学級だよりにでているように感じます。
学級だより 「5の5のきせき」(2016年7月5日第113号)から
先生「Fさん、4の倍数3つ言ってくれる?」
Fさん「1,2,4?」
先生「いや、それはちょっと・・・」
Fさん「え?ちがうの?」
他の子「たとえば、2の倍数3つっていわれたら、2,4,6とかやで」
Fさん「そっか。だったら、4、8、12だ。あれ、でもさ。じゃあ、1,2,4は4の何だった?」
ということで始まったのが、6月24日の5組の算数です。
だから、その日の問題は、
「問:1と2と4は、4の倍数?ちがうとしたら、なんなんだ・・・。」
でした。そして、答えは違う。
そこからうまれたのが、「じゃあ、1,2,4って4の何なの?」という問題です。
このあと、授業は、Fさんの疑問をみんなで考えていきました。
先生が最初にFさんに出した問題は、本当は、前回の確認でした。
先生は、気軽に質問しました。でも、Fさんと同じように考えていた友だちが教室内に数人いることがわかりました。「Fさんが間違えたのは、何か理由があるからにちがいない」「倍数と約数は、混ざりやすいな」と、先生は考えました。そして、その結果、こういう授業になりました。
倍数と約数の理解ができていない友だちにとっては、とても大切な時間になりました。でも、すでにわかっていた友だちにとっては意味がなかったのでしょうか。先生はそんなことないと思っています。自分だけわかればいいというのではなくて、その先の、「友だちにもこの面白さを感じて欲しい」というところにすすんでほしい。昨日もそうだったけど、「ヒントをだす」ってけっこうむずかしいよね。先生は、この「ヒントを出せる」ようになるということを、とても大切にしています。
<ふりかえり>
今日の算数の授業は、Fさんが問題をつくってくれました。じつは、私も1と2と4は、4の何なのかということが気になっていたので、Fさんが言ってくれてよかったです。ああやって、「わからない」っていうのって勇気がいるので、わたしもFさんみたいになりたいです。・・・(Iさん)
今日ははじめ、4の倍数は?って聞かれて、Fさんと何人かがちがった。だから、問題をかえたらいいんちゃう?ってなって、Fさんの間違えから出発しました。みんなで考えていきました。結果、Kさんが言った、「答えに4があるかけ算」という言い方が、私にはすって入った。たしかにって思った。でも、これは長いから、短くするために、新しい言葉にする。それが、約数です。結局、今日みたいな問題は、「4の約数をもとめましょう」というふうに考えられるようになりました。Fさんは、昨日のところから今日につながる疑問を発表できて、頭の回転がすごいなあと思いました。そして、間違えてもいいなだなって思いました。(Tさん)
今日、いっぱい問題ができました。それは、Fさんのおかげです。だって、FさんとOくん、Mさんが「4が入るのをいった」といってくれたから、いっぱい問題がでてきたからです。Yさんは答えに4があるかけ算の段を3つ答えましょう」と言ってくれました。ぼくは、すっきりしたときに、約数が好きになりました。(Yくん)
今日は、4の倍数は1と2と4か、4と8と12かをやりました。倍数をはじめてから、今日で少し意味がわかってきました。後半ぐらいになってから、「答えが4になる段は何か」を考えたとき、「答えが4になる段はたしかに1と2と4の段しかない」ということがわかりました。Fさんは、そういうふうに考えたんだぁと思いました。(Iくん)
ヒントを出す方が上手になる。
それと同時に、ヒントをもらう側=聞く側が上手になる。
その姿も想像するようにしています。
ぼくは、自分で、「あ、そこまででいいよ」って、気持ちよくいえることを大切にしています。
「わかった。もう、あとはいいよ」って言ったら、ヒントを出すほうはストップ。
聞いている側は、そこから自分で考える。
ヒントを出す側は相手の様子を、じっと、でもあたたかい雰囲気で見ている。
ぼくは、こういう子どもたちどうしのやりとりが大好きです。
「約数がわかる」も大切だけど、この過程で学んでいる、「友だちと関わる」「自分で探求する」「疑問から問いをつくる」ということを、ぼくはより大切にしています。
「差があると、授業がしにくい」
という考え方が、わりと市民権を得ている気がします。
でも、ぼくは、「差をなくしてしまう(見えなくしてしまう、嫌ってしまう)」ことは、大変な問題をはらんでいると思っています。
ぼくは、「差があるからこそ学べることの価値」に気づける授業を創造したいと、いつも、子どもたちの力を借りています。
さん「そっtか。だったら、4、8、12だ。あれ、でもさ。じゃあ、1,2,4は4の何だった?」
ということで始まったのが、6月24日の5組の算数です。
だから、その日の問題は、
「問:1と2と4は、4の倍数?ちがうとしたら、なんなんだ・・・。」
でした。そして、答えは違う。
そこからうまれたのが、「じゃあ、1,2,4って4の何なの?」という問題です。
このあと、授業は、Fさんの疑問をみんなで考えていきました。
先生が最初にさんに出した問題は、本当は、前回の確認でした。
先生は、気軽に質問しました。でも、Fさんと同じように考えていた友だちが教室内に数人いることがわかりました。「Fさんが間違えたのは、何か理由があるからにちがいない」「倍数と約数は、混ざりやすいな」と、先生は考えました。そして、その結果、こういう授業になりました。
倍数と約数の理解ができていない友だちにとっては、とても大切な時間になりました。でも、すでにわかっていた友だちにとっては意味がなかったのでしょうか。先生はそんなことないと思っています。自分だけわかればいいというのではなくて、その先の、「友だちにもこの面白さを感じて欲しい」というところにすすんでほしい。昨日もそうだったけど、「ヒントをだす」ってけっこうむずかしいよね。先生は、この「ヒントを出せる」ようになるということを、とても大切にしています。
つづいてこの日の学級だよりでは、子どもたちのノートの振り返りを掲載しました。
ぼくは、子どもたちの目に授業がどう映っているかを、保護者のかたや他の子どもたちに伝えることを大切にしているからです。
この日のふりかえり
算数の授業は、Fさんが問題をつくってくれました。じつは、私も、1と2と4は、4の何なのかということが気になっていたので、Fさんが言ってくれてよかったです。ああやって、「わからない」っていうのって勇気がいるのでわたしもF
先生「Sさん、4の倍数3つ言ってくれる?」
Sさん「1,2,4?」
先生「いや、それはちょっと・・・」
Sさん「え?ちがうの?」
他の子「たとえば、2の倍数3つっていわれたら、2,4,6とかやで」
Sさん「そっtか。だったら、4、8、12だ。あれ、でもさ。じゃあ、1,2,4は4の何だった?」
ということで始まったのが、6月24日の5組の算数です。
だから、その日の問題は、
「問:1と2と4は、4の倍数?ちがうとしたら、なんなんだ・・・。」
でした。そして、答えは違う。
そこからうまれたのが、「じゃあ、1,2,4って4の何なの?」という問題です。
このあと、授業は、Sさんの疑問をみんなで考えていきました。
先生が最初にSさんに出した問題は、本当は、前回の確認でした。
先生は、気軽に質問しました。でも、Sさんと同じように考えていた友だちが教室内に数人いることがわかりました。「Sさんが間違えたのは、何か理由があるからにちがいない」「倍数と約数は、混ざりやすいな」と、先生は考えました。そして、その結果、こういう授業になりました。
倍数と約数の理解ができていない友だちにとっては、とても大切な時間になりました。でも、すでにわかっていた友だちにとっては意味がなかったのでしょうか。先生はそんなことないと思っています。自分だけわかればいいというのではなくて、その先の、「友だちにもこの面白さを感じて欲しい」というところにすすんでほしい。昨日もそうだったけど、「ヒントをだす」ってけっこうむずかしいよね。先生は、この「ヒントを出せる」ようになるということを、とても大切にしています。
<ふりかえり>
今日の算数の授業は、Sさんが問題をつくってくれました。じつは、私も、1と2と4は、4の何なのかということが気になっていたので、Sさんが言ってくれてよかったです。ああやって、「わからない」っていうのって勇気がいるので、わたしもSさんみたいになりたいです。・・・(Iさん)
今日ははじめ、4の倍数は?って聞かれて、Sさんと何人かがちがった。だから、問題をかえたらいいんちゃう?ってなって、Sさんの間違えから出発しました。みんなで考えていきました。結果、Kさんが言った、「答えに4があるかけ算」という言い方が、私にはすって入った。たしかにって思った。でも、これは長いから、短くするために、新しい言葉にする。それが、約数です。結局、今日みたいな問題は、「4の約数をもとめましょう」というふうに考えられるようになりました。Sさんは、昨日のところから今日につながる疑問を発表できて、頭の回転がすごいなあと思いました。そして、間違えてもいいなだなって思いました。(Tさん)
今日、いっぱい問題ができました。それは、Sさんのおかげです。だって、SさんとOくん、Mさんが「4が入るのをいった」といってくれたから、いっぱい問題がでてきたからです。Yさんは答えに4があるかけ算の段を3つ答えましょう」と言ってくれました。ぼくは、すっきりしたときに、約数が好きになりました。(Yくん)
今日は、4の倍数は1と2と4か、4と8と12かをやりました。倍数をはじめてから、今日で少し意味がわかってきました。後半ぐらいになってから、「答えが4になる段は何か」を考えたとき、「答えが4になる段はたしかに1と2と4の段しかない」ということがわかりました。Sさんは、そういうふうに考えたんだぁと思いました。(Iくん)
ヒントを出す方が上手になる。
それと同時に、ヒントをもらう側=聞く側が上手になる。
その姿も想像するようにしています。
ぼくは、自分で、「あ、そこまででいいよ」って、気持ちよくいえることを大切にしています。
「わかった。もう、あとはいいよ」って言ったら、ヒントを出すほうはストップ。
聞いている側は、そこから自分で考える。
ヒントを出す側は相手の様子を、じっと、でもあたたかい雰囲気で見ている。
ぼくは、こういう子どもたちどうしのやりとりが大好きです。
「約数がわかる」も大切だけど、この過程で学んでいる、「友だちと関わる」「自分で探求する」「疑問から問いをつくる」ということを、ぼくはより大切にしています。
「差があると、授業がしにくい」
という考え方が、わりと市民権を得ている気がします。
でも、ぼくは、「差をなくしてしまう(見えなくしてしまう、嫌ってしまう)」ことは、大変な問題をはらんでいると思っています。
ぼくは、「差があるからこそ学べることの価値」に気づける授業を創造したいと、いつも、子どもたちの力を借りています。
さんみたいになりたいです。・・・(Iさん)
今日ははじめ、4の倍数は?って聞かれて、Fさんと何人かがちがった。だから、問題をかえたらいいんちゃう?ってなって、Fさんの間違えから出発しました。みんなで考えていきました。結果、Kさんが言った、「答えに4があるかけ算」という言い方が、私にはすって入った。たしかにって思った。でも、これは長いから、短くするために、新しい言葉にする。それが、約数です。結局、今日みたいな問題は、「4の約数をもとめましょう」というふうに考えられるようになりました。Fさんは、昨日のところから今日につながる疑問を発表できて、頭の回転がすごいなあと思いました。そして、間違えてもいいなだなって思いました。(Tさん)
今日、いっぱい問題ができました。それは、Fさんのおかげです。だって、FさんとOくん、Mさんが「4が入るのをいった」といってくれたから、いっぱい問題がでてきたからです。Yさんは答えに4があるかけ算の段を3つ答えましょう」と言ってくれました。ぼくは、すっきりしたときに、約数が好きになりました。(Yくん)
今日は、4の倍数は1と2と4か、4と8と12かをやりました。倍数をはじめてから、今日で少し意味がわかってきました。後半ぐらいになってから、「答えが4になる段は何か」を考えたとき、「答えが4になる段はたしかに1と2と4の段しかない」ということがわかりました。Fさんは、そういうふうに考えたんだぁと思いました。(Iくん)
学級だよりの振り返り:差があるからこそ問いがうまれ、その問いへの向き合い方に学びが生まれる
ヒントを出す方が上手になる。
それと同時に、ヒントをもらう側=聞く側が上手になる。
その姿も想像するようにしています。
ぼくは、自分で、「あ、そこまででいいよ」って、気持ちよくいえることを大切にしています。
「わかった。もう、あとはいいよ」って言ったら、ヒントを出すほうはストップ。
聞いている側は、そこから自分で考える。
ヒントを出す側は相手の様子を、じっと、でもあたたかい雰囲気で見ている。
ぼくは、こういう子どもたちどうしのやりとりが大好きです。
「約数がわかる」も大切だけど、この過程で学んでいる、「友だちと関わる」「自分で探求する」「疑問から問いをつくる」ということを、ぼくはより大切にしています。
「差があると、授業がしにくい」
という考え方が、わりと市民権を得ている気がします。
でも、ぼくは、「差をなくしてしまう(見えなくしてしまう、嫌ってしまう)」ことは、大変な問題をはらんでいると思っています。今回も、Fさんの疑問は、すでに塾などで約数を知っている子どもにとっては「他人事」になってしまいがち。でも、子どもたちは「新しいことを知る」と「新しいことを学ぶ楽しみを伝える」という、大きく分ければ2通りのめあてをもって進んでいった。ぼくの目には、これはすてきな学びの姿に見えました。
ぼくは、「差があるからこそ学べることの価値」に気づける授業を創造したいと、いつも、子どもたちの力を借りています。
ちなみに、このFさんは、算数が大の苦手でした。
でも、のちに、算数をいかして次の挑戦をしていきたいと、大きな目標に挑戦するようになりました。「友だちに支えてもらったおかげで学ぶことの楽しみを知った」と、卒業のときには堂々と発表していました。