ぼくのきせき

「子どもの心に火を灯す ⇄ 自分の心に火が灯る」 実現めざした学びの軌跡

学級だより|こうして学級だよりを書き始める。『なるほどデザイン』との意外な共通点・・・。

さて、書いてみよう・・・となると、当然なやむものだと思います。

そもそも、なんのために書くのかな・・・どれくらい出せばいいのかな・・・書けなくなったらどうしよう・・・。。。こんなふうに考えてしまうと、負のスパイラル。結論は、「やめておこう・・・」ってなってしまう。学級だよりにかかわらず、よくありますよね。

ぼくは、この8年間で、3500号の学級だよりをつくってきました。その経験を元に、学級だよりを書き始めるまでの流れを紹介します。

 

 

はじめに

 

どうして、誰に、何を、どうやって伝えよう・・・。

自分の気持ちが整理できなくては、いざ書き始めることができません。

もしこれが、「カレーを作る」というのであれば、野菜を煮込む順番や、使う道具など、ある程度のルールや手順みたいなものがあります。でも、学級だよりには、「何をかくか?」「どのように書くか?といったことに、絶対的な正解がない!!だれかの学級だよりがよいからといって、それを1から10まで写したところで、自分が入っていない記事はおもしろくないし、そこにクラスの子どもたちが生きてこなければ楽しくない。そこが難しいけど、そこが楽しいです。

 

書き始めるのに出てくる疑問あれこれを、「何のために書くの?」にまとめます

文章を書くにしても、イラストをのせるにしても、何もかかないスペースを決めるにしても、ひとつひとつに対して、上の疑問がでてきます。

・どうして、この記事を書くのかな・・・

・誰に向けて、このイラストをいれるんだろう・・・

・このスペースはどうしようかな・・・

これらの、疑問をまとめて、「なんのために書くの?」という言葉でまとめておきたいと思います。

 

 

「すてきな学級だより」に正解はない!!

よくいえば「読んでいて楽しい!」学級だよりも、見方を変えると「ごちゃごちゃしている」ものかも知れません。子どもたちが去年、「先生の学級だよりは、たくさんのことが書いてあって楽しいね!」って言ってくれても、今年の子どもたちは「先生、見にくい・・・」というかも知れません。逆に、管理職の「もっとシンプルにしたら」とのアドバイスに乗っかった結果、子どもから、「前の方が勢いがあった!!」と言われるかも知れない。「普通ないな」と言われるようなものであっても、それが「よし」とされることも少なくありません。

 

まさに、筒井美希さんが言うように、

 

「それが意図されたものであれば、間違いどころか大正解にだってなりうるのです」

(筒井美希『なるほどデザイン:目で見て楽しむデザインの本』)

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デザインと学級だよりづくりには、にているところがあるぞ!

ぼくが、おもしろいと思うのは、この筒井さんの本は、「デザイン」の本だというところです。学級だよりを作るということと、この「デザイン」ということには、すごい共通点があるんだな、と、意外なところから仲間があらわれたような、ちょっと楽しい気持ちになりました。

 

遠回りと考えず、「目的」を考えよう。

さて、学級だよりを書くわけですので、まずは「目的」を考えていきましょう。

別に誰かに見せるためのものではなく、自分が納得できる「目的」。

 

ぼくの場合、この目的は次のようになります:

 

「学校での出来事を通して、ぼく(担任・担当)の考えを伝える。同時に、そのぼくの考えに対する反応をみることで、次の方向性を考える。」

 

手書きにするかどうか迷っても、ぼくの「目的」からいえば、こちら。

写真を使うかどうか迷っても、ぼくの「目的」からいえば、こちら。

日本語特有ともいえますが、一人称をどうするかを悩んだときだって、ぼくの「目的」からいえば、こちら。

こんなふうに、これからいろいろと考えていくための、判断基準になるのがこの「目的」。ここに、ぼくは、ずっと時間をかけてきました。

 

目的を決めると、次の選択をしていきます。

 

「目的」を決めた次にくる、4つの選択

◎どんな人に伝える?

◎何を伝える?

◎なぜ伝える?

◎いつ・どこで、どういうタイミングで伝える?

 

◎どんな人に伝える?

・子ども?

 ・兄弟はいる? 何年生? 男女の構成比は? 子どもの性格は? 

 ・目立つ子は? なかでも、とくに伝えたい相手がいる? 

 ・読むときの子どもの状態は? 読み終わったときの子どもたちの笑顔は?

 ・子どもの今? 子どもの将来? 

・保護者?

 ・いままでのクラスでの様子は? 子どもの教育への関心は?

 ・職業は? 世代層は? 子どもとの関係は? 学校との距離感は?

 

◎何を伝える?

・学級でのできごと? ・ほめた内容は? ・注意した内容は?

・たのしいこと? ・つらいことは? 個人的なことは? 

・日記は?  ・日記や作品を選ぶ基準は?  

・現状とめざしているものの割合は?  ・

 

◎なぜ伝える?

・伝えたあと、どんな状態になってほしい?

・伝えなかったら、どうなる?

・たのしんでもらう?  考えてもらう?  悩んでもらう?

・振り返ってもらう?  反省してもらう?  目標をもってもらう?

 

◎いつ・どこで、どういうタイミングで伝える?

・教室で読むようにする?  ・家で読むようにする?  

・朝読む?  ・放課後に読む?  ・休み時間?  ・授業時間をつかう?

 

ぼくの場合の選択

「学校での出来事を通して、ぼく(担任・担当)の考えを伝える。同時に、そのぼくの考えに対する反応をみることで、次の方向性を考える。」

ことを目的として、

 

・第一に子どもに伝えることにします。もちろん、その先の保護者は常に想像しますが、それでもまずは、子どもが第一読者です。ここから、言葉選びがきまります。子どもたちのことを指すなら「みんな」という言葉を選びますし、子どもの名前を書くときも教室のなかで読んでいる呼び方を使います。失礼にはならないように配慮しますが、自然に子どもに届くことを優先します。さらに、ここから来るのは、文体が決まってきます。語りかけるように書くというのを、心懸けています。

 

・伝えたいのは、「教室内でこういうことがありました。そこで、ぼくはこう思いました。だから、こういうふうに話をしました。みんなはどう考える?」というのが、基本です。出来事について伝えるときも、ノートを紹介するときも、いつもこのライン。「ぼくは、こういうところが、このノートのすてきなところだと思います」ということを示して、子どもたち(と、その背後の保護者)の反応をみます。

 

・なぜ伝えるかといえば、もちろん、一年後にめざしているクラス像があるからです。そのためには、4月の間に、こういう価値観を共有できるようにしたい。5月の終わりまでに、夏休みまでに、半年目までに、冬休み前までに・・・・という具合いに、イメージがあります。自分だけでイメージをもっていても、効果は低い。ぼくは、ことあるごとに伝えることで、クラスの今の位置を確認するようにしています。

 

・こういう事情から、ぼくは、できるだけ教室の中で、みんなで読むようにしています。こちらが読み聞かせすることが多いです。とくに、子どものよいところを認める内容を書いているときには、6年生の担任であっても、声を出して読み聞かせをします。

 

こうして、ぼくの、書き始めの準備が決まります。

ここまできてから、ぼくは、ロゴづくりをはじめるのです。