ぼくのきせき

「子どもの心に火を灯す ⇄ 自分の心に火が灯る」 実現めざした学びの軌跡

「偶然の集まり」を「クラス」に作り変える。意外と、子どもたちには、友だちの良いところが見えていない。

キセキの時間がある。これは、ぼくなりにクラスの子どもたちの様子に合わせて、菊池先生の実践ーほめ言葉のシャワーーを取り入れたものです。

うちのクラスでは、この年、日直さんのキセキを帰りの会で発表するということをしていました。全員から、たくさんの声をかけてもらう子どもたちの様子を見ていて、気づいたことがいくつかありました。

 

 

 

<ぼくが思うキセキの時間をやって気づいたこと>

・友だちの良いところって、なかなか見えていない。

 良いところを見つける目も、育てないといけない。

 

・自分のよさを見ていてくれる友だちが、実際に現れた時、子どもたちはその友だちを大切にすることができる。いつもの「友だちは大切」は、標語的ではあっても、現実的ではない。

 

・良いところをいってもらうことはうれしいことだが、これまで傷ついてきた子どもは、これすらも難しい。人前で目線にさらされることから逃げたくなる。そのときぼくは、じっと抱きかかえて、それでもその子どもに、自分の良いところを聞かせる。

 

・友だちの目線を自分の中に内化するという過程を経た後で、子どもたちは自分自身の内側を見つめることができるようになっていく(ように思える)。

 

<キセキの時間>のあとの学級だより

ぼくは、次の日の朝に、前日の<キセキの時間>に寄せられた言葉をピックアップして学級だよりに載せます。

こんな感じです。

 

 Yさんのキセキ

・朝の学習時間、みんながしゃべっていたときに、「しずかにしてください」って声をかけてくれたのが、すごいと思いました。(Aさん)

 

・授業が終わった後、毎回黒板を消してくれていました。Yさんの心が形に表れているなぁと思いました。(Bくん)

 

・いつも楽しく遊んでくれるのが、とってもうれしい!(Cさん)

 

・発表の時とか声を大きく出していたので、声に気持ちをあらわすことができていて、よかったです。(Dさん)

 

・理科のノートにイラストをかいていて、すごいなぁって思った。(Eさん)

 

・おもしろいことを言ってくれるから、すごいと思います。うちのクラスに絶対に必要なひとりです。(Fさん)

 

・手紙を配るのを手伝ってくれていました。ぼくも、つぎの日直のときに、ぜったいくばりたいなぁと思いました。(Gくん)

 

・先生がうごくより先に、プリントを配ろうとしていて、すごいなぁと思いました。先生のことをよくみているからだなって思いました。(Hくん)

 

・20分休けいに、鬼ごっこをしたんだけど、男女関係なく追いかけていたから、すっごく楽しくなった。Yさんと遊ぶと仲良くなれてたのしいです。(Iくん)

 

・習字の時間、となりの人としゃべらずに、しっかり心静かにやっていて、すごいと思いました。(Jくん)

 

その後には、その子自身に、自分の振り返りをしてもらいます。

 Yさん自身の振り返り

わたしが日直の仕事をしているとき、みんなが声をかけてくれてうれしかったです。わたしがやってあげたかったけど、なんかlみんなからやってもらっていました。支えてもらっている感じでした。

朝の会の司会とかは、とってもきんちょうしました。

でも、日直がおもしろかったです。

友だちがよいところをたくさん見てくれたからうれしかったです。

 

 

最後は、ぼくから一言添えます。

 

 先生より 

1日、おつかれさま。自分が日直だったのに、いろいろな人に手伝ってもらってり、声をかけてもらったりした部分が印象に残っているんだね。でも、じっさいは、しっかりがんばれていたよ。黒板消しにも自分から動いてくれていたし、手紙を配るときにもすぐに行動できていた。静かにしなければいけないときは、自分だけでなくて、みんなのことも考えられていた。だからこそ、みんなも助けてくれたんじゃないかな。その日直を、「おもしろかった」と言えてしまうあたりが、かっこいい!

 この1学期、勉強でもとってもがんばっています。そして、なによりすてきなのは、おとなりさんや周りの友だちに、すなおに「ありがとう」と思えるところ。そんなすてきなYさんが、5組にいてくれて本当によかった。ありがとう☆☆☆

 

子どもにとって、クラスといっても、最初はたまたま一緒になった人たちの集まり。

いってみれば、まだ「クラスになっていない」。

 

クラスを一つにするためには、どこかのタイミングで、「ぼくは・わたしは このクラスの一員でいたい」という思いを経験させないといけないとぼくは感じています。

 

 

 

この年の子どもたちにとって、<きせきの時間>は、とても大切なものになった様子でした。

 

以上 2016年6月20日号 『5の5のきせき』 第96号より

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