学び|AIやIoTといっても、 最後に動くのは、人間。 その場所では、人間と人間の接点がある。 ここで相手を魅了することのできる人間を育みたい。
「陣屋」って?
「陣屋」ーご存じですか?
東京都内の新宿駅から、急行電車で約1時間。神奈川県にある旅館です。
1918年創業なので、100周年を迎えた老舗の旅館です。
さて、ぼくは、とつぜん旅館の宣伝をしようと思ったのではありません。
まず、それは断っておきます。
ただ、この旅館がすすめていることは、ぼくたちのような子どもたちと接する仕事には、知っておいていいかな・・・と思ったので、「栞」をつけておきます。
- 「陣屋」って?
- 陣屋さんの宣伝はこうです。
- IoTと旅館のサービスのつながり
- 「おもてなし」の向こうの IoTやAI:ぼくらがが送り出す子どもたちの時代
- 陣屋の姿から学べること
- もととなる話は、こちら
陣屋さんの宣伝はこうです。
元湯陣屋は神奈川県 鶴巻温泉の老舗旅館です。お部屋ごとに趣向の異なる露天風呂付き客室もあり、日帰り入浴も楽しめます。東京・箱根の中間地の鶴巻温泉駅から徒歩5分、アクセスも抜群です! 将棋名人戦の舞台としても有名の旅館.
この陣屋さんは、ある情報システムを作っています。その名は、「陣屋コネクト」。
そこに込められているのは、
「宿泊客と陣屋をつなぐ、陣屋で働くスタッフ同士をつなぐ。ICTを通じて、顧客をはじめあらゆる人やモノをつなぐという意味」
です。
IoTと旅館のサービスのつながり
社長さんは、宮﨑社長とおっしゃるのですが、この方は、
「旅館とIoTは非常に相性がいい」
といいます。
旅館でサービスを充実させようとすると、従来は人を増やすしかなかっのですが、陣屋さんはIoTを導入することで、サービス充実と省力化を同時に実現していきます。
結果、旅館といえば休館日がないというのが常識的なところ、基本的に月、火、水曜日を休館日にできてしまいます。
しかも、それで赤字になってしまったわけではない。
まず、利益率が上がりました。きちんとスタッフが休める。休館日に設備のメンテナンスが一気にできる。料理長は休館日を使ってほかの旅館さんに料理指導に行ったりしています。スタッフはほかの旅館さんに泊まりに行って勉強したりということもできます。
こういうところにまで、IoTの流れが進んでいるのですね。
「おもてなし」の向こうの IoTやAI:ぼくらがが送り出す子どもたちの時代
小学校現場だけにいると、こういうところ、うとくなりませんか?
ぼくは、こういう社会の状況をつかんでおくことって、大切な気がしています。
最近、この感覚は、危機意識に近いです。
「すべては、おもてなしのため」
と考える企業を考えるときにも、ネットワークやAIといったキーワードが出てくる。
それが今現在。
これからはさらにそれが進んだ時代になっていく。
ぼくたちが今育てている子どもたちは、まさにそのような時代を生きていくことになるわけです。そのぼくたちに、このような現実が見えているでしょうか・・・
陣屋の姿から学べること
この陣屋(および陣屋コネクト)の姿について、セールスフォース・ドットコムの小出伸一代表取締役兼社長が迫っていきます。
- システムはスタッフのみなさんに使ってもらってこそ効果を発揮するもの。システムを使いはじめようと思ったら、さまざまなハードルがある。それでも、経営者は「あるべき姿」や「ありたい姿」を掲げて、すべきことを考え、動いていく。企業規模は関係なく、意思決定者は様々な人を説得していく必要がある。歴史があったりする場合には、さらに変化を生み出すことは難しい。でも、そのようななかでシステムを作っていくストーリーが、それぞれの企業には存在している。
- 成功も失敗も、その履歴が残っていることで後から原因と対策を分析できる。どのように原因と対策を分析し、どのように実際の行動にうつすかは、スタッフの思い。テクノロジーを使いこなすかどうかは、原点を持っていること。陣屋は、「すべてはお客様」を原点にしているところが、一番注目すべきポイント。
- スタッフの本来の仕事はお客様の満足度向上だと定義し、本来の仕事に集中できるようにスタッフの時間の使い方を変えなければならないと考えた。そのための方策としてテクノロジー利用に行き着く。このような順番を追っているからこそ、テクノロジーに振りまわされることなく、使いこなしている。
- AIというとすぐにコンピューターに人間以上の判断力をつけさせるといった話になりがちだが、それを追究するのではなく、お客様の接点に近いところでAIの機能を使う。そういう着眼点が大切。「こうしたお客様にはこういうフォローをするとよい」という分析はできても、それを形にするのは人間。
- クラウドコンピューティングサービスが備えるメリットに、英知を集めることがあげられる。人々がもっている情報やノウハウを集約したり展開することが簡単にできるようになっている。さらには、それらの情報を使って動いたことがどういう結果をもたらしたかということも、リアルタイムで情報として加わっていく。
宮﨑社長はいいます。
「陣屋コネクトの原点は、スタッフの裏方仕事が多すぎて、お客様のおもてなしに時間が割けない状況を何とかしたいというところにありました。情報を元にどう考え、どうお客様のおもてなしに反映させるか。お客様満足度の向上は永遠の課題です。」
でも、考えてみると、AIやIoTといっても、
最後に動くのは、人間。
その場所では、人間と人間の接点がある。
ここで相手を魅了することのできる人間を育みたい。
そんなふうに考えます。
子どもが将来経営者になるとしても、スタッフの声を聞き、スタッフに説明する場所がある。
子どもがスタッフになるとしても、経営者の声を聞き、経営者に訴えをする。お客様の声を聞き、お客様にお答えをする。
そして何より、
自分の周りで困っている人、考えている人に寄りそったり、耳を傾けたりすることができる。
そういう人が必要。
そう考えると、ぼくたちにできることはまだまだあるし、
むしろ、ぼくたちの仕事は、これからますます大切になってくるのかも知れません。
もととなる話は、こちら