ハリーとローズマリーの「成果を上げ、成功する教師」の3特徴から、「学級だより」を読み解く
ぼくは、ここのところ、学級だよりのバックナンバーを紹介しています。
1番の願いは、「当時の子どもたちに、届けたい」です。
社会のどこかでがんばっている子どもたちに、エールを送りたい。
その思い出、バックナンバーを紹介しています。
2番目の理由は、「多くの先生たちの目にとまってほしい」です。
学級だよりはかたくなって書くようなものではないし、ぼくは実に自由度の高いものだと思っています。もちろん、若干のルールはありますが、それでも、「楽しんで書いたもの」だから読み手も楽しい。楽しんで書いているぼくの気持ちが、すこしでも、たくさんの先生に伝わるといいなとの思いがあります。
でも、ここでは、ちょっと角度を変えて、ぼくの学級だよりをを分析する視点を提供したいと思います。これはきっと、みなさんの学級だより、あるいは学級づくりを分析するツールにもなるのではないか、と思います。
そのために使うのは、『世界最高の学級経営 成果を上げる教師になるための50の技術』(東洋館出版 2018年 以下の引用はこの本から)です。
この書物のプロローグは、次のようにうたっています。
「成果を上げ、成功する教師」
子どもが学びを達成するのに、最大の効果を発揮する唯一のもの、それは成果を上げる教師である。
そして、成果を上げる教師の特徴として次の3点を上げています。
- 学級経営がすばらしい。
- 子どもの学びを促す授業を行なっている
- 子どもの成功に対する前向きな期待を持っている
この3点は、トーマス・グッドとジェア・ブロフィーが、30年以上学級を観察した中で整理したものだといいます(『Looking in Classrooms』が2人の著書です)。
そして、この2人の研究から30年経った2008年に、ロバート・ピアンタ(ヴァージニア大学)は、1000校を観察した結果として、以下の3項目が成果を上げる教師には欠かせないと指摘しています。
- 組織的サポート
- 指導的サポート
- 感情的サポート
さらに、この本では、もう一個研究の成果が紹介されています。
同じく2008年にUCLAで行われた、リスクのある子どたちの学びを妨げる3つの障害についての研究結果です。
- マネジメントの要素
- 指導の要素
- できるようにする要素
これらは、文言こそ違うものの、共通する内容を強調していると、ハリーとローズマリーは指摘しています。だからこそ、
以上の研究も踏まえて、2人が指摘する成功する教師の3つの特徴は・・・
- 学級経営
- 授業を極める
- 前向きな期待
です。
ぼくは、学校現場ではたらく一人なので、逆のベクトルから問いを立てることが多いです。つまり、「どうしたら、よい先生になれるのだろうか?」ということです。でも、これまでの研究を大切にするならば、上の3点をつねに心がけていくことが、「よい先生」への道だということになります。
2人は、大切な指摘をします。
学級経営は、成果を上げ、成功する教室の基礎をつくります。学級経営が最高にうまくいっているとき、その存在は見えません。でもクラスに学級経営がないと、それははっきりと表れてくるのです。
そこで、だったらどうやって、上の3点を高めていくのかということになりますが、ぼくは、そのことを可能にする鍵が学級だよりにあると思っています。
バックナンバーを見ていくと、ぼくは、これは本当に偶然なのですが、学級だよりをかくために、いつも上の3つの点「学級経営」「授業の質」「子どもたちへの価値付け」を振り返っていることがわかります。これらを振り返らないと、学級だよりを書けないからです。
そして、振り返りをすることによって、自分に何が足りていないか、クラスに何が足りていないかを明らかにしたり、自分が目指しているクラス像を再確認したりしています。
授業の最後に子どもたちにやらせる「振り返り」のように、ぼくは学級だよりを書くという作業を通して、今日の自分(クラス)を昨日の自分(クラス)と結びつけ、未来の自分(クラス)と結びつけているのです。これは、ぼくのなかでは、本当におすすめの、学級経営のツールです。
ぜひ、自分のクラスの武器ともいえる学級だよりを発行することをおすすめします。それは、きっと、A4サイズ1枚やB5サイズ1枚でもよいのだと思います。
忙しい思いをされている方もおられると思います。
でも、学級がうまくいっているとき、事務作業なども気持ちよく進むものです。ぜひ、ためしてみてください。